ドローン活用してぜひインフラ総点検を


時代刺激人 Vol. 310

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

ドローン活用してぜひインフラ総点検を

老朽化する橋りょうやトンネル、道路、森林などのインフラのうち、立地条件の難しさからチェックの手が及ばない、あるいは目に入りにくい部分で老朽度が大きく進み、結果として、崩壊あるいは災害リスクを生むというケースがある。
その解決策として、ドローン(無人飛行機)に赤外線カメラなどを取り付け、空中からのインフラ総点検を強くアピールしたい。ドローンは急速に技術レベルを上げている。人手不足が深刻化し、老朽インフラへの目が届かない状況下の今こそ積極活用すべきだ。

千葉県の台風災害も事前点検していれば、、、

老朽インフラで思い当たるのが今秋、強風を伴った台風15号が首都圏の千葉県に襲い掛かって災害をもたらした事例だ。強風が特定の地域に集中、数多くの民家の屋根を吹き飛ばしたうえに、千葉特産の山武杉をなぎ倒した。その杉の倒木が電柱の倒壊、道路の寸断を引き起こしたため、被害を大きくした。それだけでない。現場の復旧判断に甘さが加わって手間取り、長期間の停電、断水に及び、都市複合災害のこわさを見せつけた。

私は災害後、この山武杉の倒木現場を車で通る機会があった。関係者の話では、林業衰退で所有者の間伐などの維持管理が不十分となり、「非赤枯れ(ひあかがれ)性の溝腐病」が蔓延、木の幹が腐ってきて倒れやすくなっていた。老朽化も影響している、という。
もしドローンを活用して事前に山武杉の状況をデータベース化、また倒木に至った場合の電柱倒壊などへの影響をシミュレーションしておき、台風到来に合わせて、何らかの対策を早めにとれば、災害を最小限に抑えることも可能だったのでないか、と考える。

中山間地域で生活物資輸送の社会実装

ドローンに強い関心を持ったきっかけは昨年、中国のイノベーションセンター、深圳で、ドローンの開発・生産・販売に取り組むDJIの企業現場を見た際の驚きだ。ホビー用のドローン生産が中心だが、平均社員年齢26歳の若い開発力でさまざまな機種開発を行い、2006年創業からわずか13年で世界市場の販売シェア70%を握り、時価総額で10億ド
ル(円換算1000億円)を超すユニコーン企業に急成長しているたくましさを感じた。

そんな矢先、中山間地域の岡山県和気郡和気町でコンサルティング大手レイヤーズ傘下の企業が和気町と連携して過疎地域の買物難民の高齢者への生活物資輸送をドローンに肩代わりさせる実証実験を行う、というので、現場見学させてもらった。楽天、日本郵便なども同じような取り組みを行っており、社会実装の段階に入ってきた、と言っていい。

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