ITプラットフォーマーが時代を動かす?日本はプラットフォームで社会制度設計を


時代刺激人 Vol. 300

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

学ぶべきはビッグデータ活用、出遅れ日本はプラットフォーマー登場し新モデルを

ポイントは、プラットフォーム上でのオープンイノベーションだ。米国や中国ITプラットフォーマーたちは、インターネットを縦横無尽に活用してこのビジネスを展開、時代を大きく動かす現実を見るにつけ、なぜ日本は出遅れてしまったのだろうかと首をかしげてしまう。私の見るところ、日本企業はネット上での他企業との事業連携というオープンイノベーションに消極的なことが響いている。要は自前主義へのこだわりが強すぎるのだ。

経営コンサルタントの平野敦士さんは著書「プラットフォーム戦略」(東洋経済新報社刊)で、「モノづくりが主役で、ソフトウエア開発は下請け事業、受託事業という日本の発想に問題がある」と述べている。同時に「(自動車産業などでは)確実にハードウエアからソフトウエアへと価値のシフトが起きている。それに対応するにはメーカー発想からプラットフォーム戦略思考へと発想を転換することが必要だ」とも述べている。重要な指摘だ。
日本は今後、IT企業に限らず日立製作所やトヨタ自動車などのモノづくり企業がプラットフォーマーとして本格登場しインターネットとモノをつなぐIoTや製造業のサービス化を大胆に進め、ビッグデータの積極活用で新時代を切り拓くのがポイントのように思う。

中国IT企業の個人信用情報管理システム「芝麻信用」が相互不信社会を変えた!

ビッグデータ活用という点では、中国ITプラットフォーマー事例が面白い。富士通総研の中国人エコノミスト柯隆さんから最近聞いた話によるとアリババ集団傘下のアント・フィナンシャル・サービスがネット通販などの支払いをモバイル決済OKにしている。そのサービスで利用客の支払いデータをもとに個人信用情報管理システム「芝麻(ゴマ)信用」をつくった。すると国民の相互不信が強かった中国の経済社会を変えた、というのだ。

具体的に言おう。モバイル決済支払いデータをもとに、その会社は顧客信用度を数字化して格付けし700~950点ならば「信用極好」、650~699点だと「信用優秀」とした。格付け数字によって宿泊ホテルでのチェックイン時の担保金不要など、数多くのメリットもつけた。これが中国人の意識を変え、信用評価点数を上げるため銀行引き落とし口座残高を確実にするなど自助努力が始まった。アリババ集団にとっても信用リスク軽減につながったが、自分中心の個人主義者が強く他人をあまり信用しない中国社会で、他人への気遣いなど社会変革につながる効果が生じたというのだ。ビッグデータ活用のプラス効果だ。

FACEBOOKの会員情報が流出し悪用事例、社会監視に使われるリスクも

しかし話はバラ色ではない。これらプラットフォーマーたちのビジネス展開がさまざまな弊害、問題を引き起こしていることも事実で、もろ手を上げてプラットフォーム・ビジネスやビッグデータの活用を、とはいかない部分がある。
とくにビッグデータに関して、メディアで大きく報道されたFACEBOOKの会員情報8700万人分が外部に不正流出した問題がそれだ。英国の選挙コンサルタント企業が、現時点では不明の顧客先の依頼で米国人会員データ情報を入手し、2016年の米大統領選挙で現大統領のトランプ氏の陣営に有利に働くように利用したのではないか、という疑惑が浮上した。米国議会で政治問題化しているが、真相究明し利用者保護で歯止めをかけるべきだ。

メディア報道では、この選挙コンサルタント企業幹部は、EU(欧州連合)からの離脱を問う英国民投票でビッグデータを巧みに使って離脱に動くようにキャンペーン展開したと、もらしている、という。データ活用が転じて、大衆の意識操作に使われたら、大問題だ。
ビッグデータが社会監視に使われるリスクもある。中国の場合、「芝麻信用」でプラス効果があったが、共産党政府が空港など主要施設に監視カメラを置き映像データを不審人物チェックに使っている。スマホ決済の個人データも活用対象になる。まさにもろ刃の剣だ。

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