世界中を震撼させる「コロナ」感染リスク

2020/03/31

世界中を震撼させる「コロナ」感染リスク

中国・武漢市を発生源にした新型コロナウイルスの感染リスクが、ここまで世界中を震撼させる重大危機に拡大するとは、誰も想定しなかっただろう。ウイルスという目に見えない「敵」との闘いとはいえ、今やヒトの動きに大きな制限が加わり、それがモノの生産活動に波及、経済は失速しかねない事態となった。国際的に、まさに非常事態だ。

当初は、感染者の隔離、治療対応にとどまっていたのが、次第に危機管理対応は住民の外出禁止など都市封鎖、さらには感染者が急増する国々からの入国制限にエスカレートした。今では感染リスク遮断を理由に、シンガポールがすべての外国人の入国禁止という国境封鎖に踏み出すと、EU(欧州諸国連合)が同様にEU域外からの入域を30日間、原則禁止した。米国も自国内の都市封鎖にとどまらず、EUなどからの入国を封じた。連鎖が拡大すれば、世界中が鎖国状態に陥ってしまう。現に、その最悪状態に向かいつつある。

国境封鎖や相互不信を止め、グローバル連携を

そんな中で、国際問題の専門家が鋭く問題指摘する。「中国が2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓をもとに、新型コロナウイルスへの対策を素早くとっていれば、中国武漢の新型肺炎、中国の風土病にとどまっていたはず。その責任は間違いなく大きい。しかし疾病のグローバル化スピードがケタ外れだ。人の往来スピードが早いため、リスクは一気に拡大しパンデミック(世界的な流行)になった」と。全くそのとおりだ。

今、こわいのは、グローバル化が「コロナ」ウイルスの感染リスクを世界中に拡散させたとして、グローバリゼーションを憎み、国境封鎖などで各国が相互不信に陥ることだ。そこで、私は言いたい。今こそ世界が足並みをそろえて危機対応で連携することだ。相互不信から国境封鎖に走るのではなく、感染者対策の知見やワクチン開発の情報共有、医療崩壊に陥る国々へ医師や看護師の国際チームを派遣、物資補給すること、また経済対策に関しても失職を余儀なくされた人の救済策の政策情報共有など数多の対応が必要だ。

日本は二流、三流の先進国に陥った?

2020/02/04

日本は二流、三流の先進国に陥った?

知り合いの外国人と最近、話していて、痛いところを衝く指摘があった。日本はクリーン(清潔)で安全、地下鉄など社会インフラは整っていて住み心地がいい、食事も味のよさ、おもてなしサービスのすばらしさがあり、間違いなく生活大国先進国だ。でも強いはずの経済は、なぜか大胆なイノベーションがなく、世界中が目を見張るすごい企業が生まれてこない。技術では優れた国とみられているのに、何とも不思議だ、と。

口惜しいかな、この指摘は事実だ。日本は先進国経済の地位にありながら、過去30年の平成年間を見た場合、経済を主導するめざましいイノベーションが起きていない。当然、経済にダイナミックな動きがなく、先進国間の実質GDP(国民総生産)伸び比較でみても日本だけが平均年率1%半ばの低成長にあえぎ、今もその状況を引きずっている。
ずばり申し上げたい。日本は、経済一流を誇示しているが、現実は、大企業を中心に大組織病が蔓延、肥大化した組織を守ることに無駄なエネルギーを費やし、安全運転経営に終始している。結果は、破壊的なイノベーション経営に背を向けてしまい、停滞を余儀なくされている。このままでは二流、三流の先進国に陥るリスクが大だ。

小林さん「今の日本は危機感なき茹でガエルだ」

最近、私はある会合でビジネスリーダーの中でも危機意識が強い前経済同友会代表幹事で現三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光さんに、この点をぶつけたところ、即座に「日本はすでに二流、三流の先進国になってしまっている」との答えが返ってきた。

小林さんは、経済同友会がまとめた「危機感なき茹でガエル日本」(中央公論社刊)の本の中で「ぬるま湯に浸かっているカエルが、徐々に水温を上げても気づかず、やがて熱湯になった時に逃げだすことが出来ずに『茹でガエル』になってしまう」という事例をもとに、日本が過去の成功物語にこだわり危機感がないまま状況に流されている現実を厳しく批判している。そして「過去の延長線上に未来はない」とイノベーションへのチャレンジを強く訴え、大企業が巨額の利益を内部留保として貯め込むのは間違いで、研究開発投資につぎ込むべきだ、という。全く同感だ。小林さんは最近、政府の規制改革会議議長に就任されたので、大胆な、常識破りの改革を期待したい。

学ぶ楽しさを知る真の英才教育を実践。やる気を創造し思考力を伸ばすプロフェッショナル。

開塾以来、40 年以上の実績を誇る革新的教育メソッド
高いやる気を持続させるための教育プログラムの核心に迫る

 昨今の急速なテクノロジーの進化に伴い、知識力が問われる時代から問題解決力が問われる時代へ変化しつつある教育の在り方。2013 年放送当時、すでに「やる気アップメソッドが重要」と仰っていた清水代表率いる誉田進学塾のめざましい躍進。自らの力で問題を解決するためのトレーニングを行なうという教育メソッドで地域ナンバーワンの合格実績を誇る。

「基本は、本人がやる気の高い状態で自ら勉強することによって成果が生まれるという原点に近い教育に根ざしている。成績が伸びなければ、本人にやる気がないからだと判断されがちな教育界において、私たちはそうではなく、やる気を引き出し、高く持続させるにはどうすればよいかという考え方で教育プログラムを組み、実践している」

脳科学や教育科学のエビデンスを踏まえた指導法を現場で活かしつつ、クリエイティブな思考をトレーニングする技術の開発にも余念がない。

「2013 年当時と比較すると、現在は中学受験部門は 2 拠点、高校受験部門は 9 拠点、大学受験部門は 6 拠点と、おかげさまで規模は飛躍的に拡大しており、職員も増えた。しかし、少子化の波が押し寄せ、業界では差別化が求められる中、今年のコロナによっていよいよ業界再編成の地殻変動が起きるかも知れないとまで言われている。我々はコロナ禍において、かなり早い段階で配信型授業教材と双方向型映像授業の体制づくりに着手し、オンライン化に素早く対応した。整備済みだった社内間オンラインのインフラを活用し、塾や予備校の閉鎖が相次ぐ中でも、私たちは生徒指導を継続することができた」

同社のオンライン化と AI による学習システムの開発・導入において、どの部分がモチベーションの維持に有効なのか、どの部分が学習効果に繋がるのかがはっきり見えてきたという。

「この経験が次へのステップの足がかりになると思う。来年度は本格的に AI(ディープ・ラーニング)を使った学習システムの開発・導入へと進んでいく。単純な知識を得るだけなら AI のほうが効果的。塾としてやるべきは、子どもたちの思考力を鍛え、クリエイティブな思考を生み出すトレーニング。より深化させていく技術開発に力を入れていきたい」

人間力が問われる時代に「本物の力」を養う
ES(従業員満足度)を高めることで CS(顧客満足度)が高まる

 少子化やコロナの影響により、ますます生き残りをかけた熾烈な差別化競争の学習塾業界。同社では今現在も変わらず、本当の教育のあるべき姿を追求し続けている。未来を担う子どもたちに、学ぶことの楽しさ、理解できた時の感動、勉強そのものの面白さを伝えていくことこそ本当の教育だという。

「受験勉強は、苦しい試練を我慢し、その苦しみを乗り越えて結果を掴むものだと思われがちだ。確かにその経験も大切だが、基本的には勉強そのものが面白く、学び続けることや理解すること、そして、思考し何かを生み出すことの素晴らしさを体験しないと、社会に出てクリエイティブな活躍はできないと思う。一歩社会に出れば、与えられた環境の中で自ら思考し、自分の意見をまとめる能力が問われる。その意味では、私たちは業界の中でも先行して取り組んできた」

さらに同社は、かねてから働きやすい職場づくりにも取り組んでいる。規模拡大とスタッフ増員に伴い、育休・産休も取れるような女性にも働きやすい制度やフレキシブルな勤務体系の導入など、労働環境の拡充に努めてきた。そのことが、これからの教育を担う志高きスタッフのやる気を引き出し、共に切磋琢磨し、共に成長していく。

「働きやすい環境づくりは以前から取り組んできた。増員によって育休・産休の代替スタッフが可能になり(放送で取り上げられた当時新人だった一人は、今 2 回目の育休中)、より働きやすい環境を整備することで、ES(Employee Satisfaction)を高める。そのことによってCS(Customer Satisfaction)が高まるというサイクルは学習塾業界では珍しい。全国で 1000校舎以上ある東進衛星予備校のフランチャイズに弊社が加盟して 11 年経つ。受講者が翌年度継続して契約更新するかどうかの鍵が教務スタッフに対する信頼だ。ここ 4 年、弊社は加盟母体単位でその継続率が全国トップクラスそれは顧客満足度の指数だと思っている」

同社のプロフェッショナルな講師を生み出す力の源泉は科学的なエビデンスをもとにしたシステムと、その人のやる気や心を活かす指導研修にある。同社の指導理念を理解し、実践しながら 3 年から 5 年かけて徐々にステップアップしていく。

放送時の新人社員もテレビ生放送高校入試解説で活躍するまで成長

「2013 年当時は週に 1 回、模擬授業研修を行ないスキルアップを図っていたが、その後、規模拡大に伴い、何回かシステム変更をして順調に育成し続けている。例えば、同じく放送で取り上げられた別の当時新人は、その後テレビ生放送の入試解説でも活躍、現在は校舎長を務めている。週に 2~3 回、地域別の各拠点に 2~3 教室のスタッフが集まってそれぞれが研修を行なう(現在はオンライン化)形に変更。また、当時は新卒採用が多かったが、現在は中途のキャリア採用も増加し、私が直接行なう研修ではスキルアップというより、やる気を引き出す指導法など、誉田進学塾の『考え方』の研修に軸足を置いている」

2014 年に発表されたオックスフォード大学マイケル・オズボーン准教授の論文「雇用の未来」によると、AI などテクノロジーの進化によって 20 年後には 47%の職業がなくなるという発表が世界に衝撃を与えた。文部科学省も「対話的で深い学び」教育指針を示し、2021 年から大学入試は共通テストで記述式が導入される。知識力よりも問題解決力が問われる社会へ。まさに同社が開塾以来、指導し続けてきた教育の核心部分こそ、近い将来、劇的に変容するであろう社会を子どもたちが生きていくために必要な能力を鍛えていくメソッドと言えるのではないだろうか。

ドローン活用してぜひインフラ総点検を

ドローン活用してぜひインフラ総点検を

老朽化する橋りょうやトンネル、道路、森林などのインフラのうち、立地条件の難しさからチェックの手が及ばない、あるいは目に入りにくい部分で老朽度が大きく進み、結果として、崩壊あるいは災害リスクを生むというケースがある。
その解決策として、ドローン(無人飛行機)に赤外線カメラなどを取り付け、空中からのインフラ総点検を強くアピールしたい。ドローンは急速に技術レベルを上げている。人手不足が深刻化し、老朽インフラへの目が届かない状況下の今こそ積極活用すべきだ。

千葉県の台風災害も事前点検していれば、、、

老朽インフラで思い当たるのが今秋、強風を伴った台風15号が首都圏の千葉県に襲い掛かって災害をもたらした事例だ。強風が特定の地域に集中、数多くの民家の屋根を吹き飛ばしたうえに、千葉特産の山武杉をなぎ倒した。その杉の倒木が電柱の倒壊、道路の寸断を引き起こしたため、被害を大きくした。それだけでない。現場の復旧判断に甘さが加わって手間取り、長期間の停電、断水に及び、都市複合災害のこわさを見せつけた。

私は災害後、この山武杉の倒木現場を車で通る機会があった。関係者の話では、林業衰退で所有者の間伐などの維持管理が不十分となり、「非赤枯れ(ひあかがれ)性の溝腐病」が蔓延、木の幹が腐ってきて倒れやすくなっていた。老朽化も影響している、という。
もしドローンを活用して事前に山武杉の状況をデータベース化、また倒木に至った場合の電柱倒壊などへの影響をシミュレーションしておき、台風到来に合わせて、何らかの対策を早めにとれば、災害を最小限に抑えることも可能だったのでないか、と考える。

中山間地域で生活物資輸送の社会実装

ドローンに強い関心を持ったきっかけは昨年、中国のイノベーションセンター、深圳で、ドローンの開発・生産・販売に取り組むDJIの企業現場を見た際の驚きだ。ホビー用のドローン生産が中心だが、平均社員年齢26歳の若い開発力でさまざまな機種開発を行い、2006年創業からわずか13年で世界市場の販売シェア70%を握り、時価総額で10億ド
ル(円換算1000億円)を超すユニコーン企業に急成長しているたくましさを感じた。

そんな矢先、中山間地域の岡山県和気郡和気町でコンサルティング大手レイヤーズ傘下の企業が和気町と連携して過疎地域の買物難民の高齢者への生活物資輸送をドローンに肩代わりさせる実証実験を行う、というので、現場見学させてもらった。楽天、日本郵便なども同じような取り組みを行っており、社会実装の段階に入ってきた、と言っていい。

働き方改革は残業減らしでは効果なし

働き方改革は残業減らしでは効果なし

長時間労働しても給料がなかなか上がらない。日本の労働生産性はなぜか国際的に下位に低迷したまま。こうした日本社会の非効率な働き方が問われて久しい。政府もやっと重い腰をあげ、法整備して働き方改革に乗り出した。ところが、私がいくつかの企業や公的機関の現場で目にしたのは、形だけの残業減らしに終始する姿ばかり。

かつて、ジャーナリストの夜討ち朝駆けの長時間取材は当たり前と、なりふり構わず動き回った私が、この改革現場の現実を見て、大きなことを言える立場にはない。でも、現状を見る限り、これではとても働き方のシステム改革とは言えないな、と実感した。

老舗カゴメ、ヘッドハントの助っ人に大胆改革託す

そんな矢先、創業120年の老舗企業カゴメが、在宅勤務のテレワーク、副業とは別の「複業」によって副収入確保のみならず外部でのさまざまなキャリア構築OKという大胆改革に取り組んでいるのを知った。好奇心に駆られ、改革を進めた有沢正人CHO(人事最高責任者)にアタックした。話を聞いていると先進モデル事例と言っていい。ぜひ紹介しよう。

有沢さんは旧協和銀(現りそな銀)出身。米国で取得したMBA(経営学修士)資格を生かし、HOYAなど大手企業に転出、人事制度改革に取り組んだ。そのあと、組織改革のリーダーを求めるカゴメの要請を受けたヘッドハンターの仲介で7年前、カゴメに来た。
人事制度改革によってアクティブ組織化は可能というのが持論。現に「トップ自らが行動を示さねば組織は動かない」と、改革権限を活用し社長にも平気で指示した、という。ネアカさで人を動かし、組織も動かす率先垂範の行動派だ。老舗企業には貴重な存在だ。